国土交通省は日本郵便の担当者㊧に軽貨物車の使用停止処分を通知した(1日、東京・品川)

全国の郵便局で配達員への法定の点呼が適切に行われていなかった問題で、国土交通省は1日、不備が確認された47都道府県の111局に対し、軽バンなど軽貨物車の使用を一定期間停止させる行政処分を通知した。今後も週に100局程度のペースで処分を進める。今年度末までに計2千局を超える可能性がある。

同省によると、停止日数や台数は各郵便局の違反の程度や保有台数によって異なり、8日から発効する。今回は15〜160日間にわたって計188台が使用できなくなる。処分期間中は同業他社への委託や近隣の郵便局の応援などで対応する。

日本郵便は1日、「今回の処分を厳粛に受け止め、安全を確保する体制構築を徹底し、信頼回復に全力で取り組む」とのコメントを出した。

日本郵便への立ち入り検査に臨む国交省の職員(4月、東京都港区)

日本郵便は軽バンなどの軽自動車を約3万2千台所有し、家庭への配達やポストの集荷業務などに当てている。今回処分を受ける郵便局のうち、停止台数が最も多かったのは深川郵便局(東京都)と尾道郵便局(広島県)の7台。岩手、富山、福井、香川、熊本の5県の9局では、1台しかない軽バンが83〜154日間使えなくなる。

車両使用停止は貨物自動車運送事業法に基づく処分で、最大でも各局が所有する台数の半分までと規定されている。初めて違反が確認された場合の処分期間は「点呼の実施違反」がのべ100日までで、報告書に事実と異なる記載をする「不実記載」が同60日となる。

日本郵便の社内調査では全国3188局の75%にあたる2391局で不適切な点呼があったことが確認され、のべ約15万件にのぼった。国交省は6月、同社が約2500台所有するトラックなどの一般貨物車両について事業許可取り消し処分を実施。9月には軽バンの車両停止処分案を同社に通知していた。

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