消費税額を取引先に正しく伝えるインボイス(適格請求書)制度の開始から2年となる1日、税負担が増すとして制度に反対する団体が東京・永田町でデモをした。あと1年で期限を迎える緩和措置もあり、負担増を迫られる個人事業者らが改めて制度の廃止を訴えた。

 この団体は「インボイス制度を考えるフリーランスの会」。この日は正午ごろから80人近くが国会議事堂の近くに集まり、「『インボイス廃止』の決断を!」などと書かれたプラカードを掲げた。野党系の国会議員も参加し、制度への批判を展開した。

 消費税はモノやサービスを売った時に得る消費税額から、仕入れ時に支払った税額を差し引いて納める(仕入れ税額控除)。2023年10月に始まったインボイス制度では、この控除を受けるために売り手が発行したインボイスの保存が必要となった。

 しかし、年間売り上げ1千万円以下の「免税事業者」はインボイスが発行できない。そうすると買い手である取引先が仕入れ税額控除を受けられないため、免税事業者が契約を打ち切られるなど、不利な扱いを受けるという懸念が持ち上がった。課税事業者になればインボイスを発行できるが、その代わり税負担が生じる。

 「インボイス制度を考えるフリーランスの会」は、フリーランスで活動する人の多くが免税事業者であることから、制度開始前から廃止に向けて活動してきた。国は免税事業者から課税事業者に転じた場合などの負担軽減措置を設けたが、来年9月末が期限。会の発起人の小泉なつみさんは「尊厳を奪う税制にとうてい納得できない。廃止が決まるまでは負担軽減策の延長を講じるべきだ」と話す。

 国税庁によると、制度開始前の23年9月末に登録申請した事業者は個人と法人で計約425万者で、今年3月末時点では約461万者が登録。消費税の確定申告も、22年分の個人事業者の申告納税額は約6277億円(約106万件)だったが、24年分は過去最高の約8004億円(約212万件)に増えた。

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