
情報サービス事業を展開するAGS(さいたま市)は、サプライチェーン(供給網)を担う企業に対し、セキュリティー対策の課題や弱点などを可視化する支援サービスを開始した。経済産業省は2026年度中にも、企業のサイバー対策を星の数で評価する新制度の運用を目指しており、同社は新制度上での評価取得に向け、伴走支援を展開する。
日本では現在、製造やIT(情報技術)など様々な業界で、企業がサプライチェーンを構築している。国境を越えたサイバー攻撃の脅威も高まるなか、自社のセキュリティー対策が盤石であっても、発注先などから情報が漏洩してしまうリスクが懸念される。日本の経済安全保障にも関わるテーマだ。
一方で、発注企業が受注企業のセキュリティー対策状況を外から把握しづらいことなどが課題となっており、経産省はサプライチェーンの対策状況を可視化する制度の構築を目指している。4月に制度概要を整理した中間とりまとめを公表した。

AGSはこうした政府の動きに対応し、このほど「サプライチェーンセキュリティ対策評価支援サービス」を始めた。まず、顧客企業のセキュリティー管理体制をヒアリングした上で、同社からチェックすべき項目を記したシートを提供する。顧客にシートの記入・提出をしてもらい、星の取得に向けた課題の明確化、改善案の報告などを行う。
新たなサービスは中堅企業などを主な顧客として見込む。要望や支援内容に応じて、個別で料金を見積もる。同社は「サイバー攻撃や不正通信のブロック」「ウイルスの検知・駆除」「遠隔攻撃に備えたファイルのバックアップ」など、幅広い技術やサービスをそろえており、顧客の希望に応じてこれらを紹介する。
同社の源流は、銀行の顧客向け受託計算サービスだ。1971年に設立された同業の2社が95年に合併し、2004年に商号をAGSとした。26年3月期の連結業績予想は、売上高が7.8%増の268億円、営業利益は10.8%増の20億円を見込む。企業や自治体などのソフトウエア開発で、大型案件が増加したことが追い風となっている。
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