第一三共は6日、有効な治療法が少ないとされる「トリプルネガティブ乳がん」を対象とした同社抗がん剤「ダトポタマブ デルクステカン」の臨床試験(治験)結果を公表した。最終段階にあたる治験の主要評価項目で「統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した」とした。第一三共は治験結果に基づき、国内外で適応拡大に向けた承認申請の準備を進める。

第一三共によると、トリプルネガティブ乳がんは世界で年間約35万人が診断され、乳がん全体の約15%を占めるとの報告があるという。同タイプの乳がんは進行が早く再発しやすい上に、若い世代で多く見つかりやすいのが課題となっている。

治験はトリプルネガティブ乳がん患者への1次治療を対象とした。治験結果は今後、学会などでも公表するほか、各国・地域の規制当局とも情報を共有する予定だ。

「ダトポタマブ デルクステカン」は、一部の乳がんを対象にすでに日本や米国、欧州などで承認を取得し「ダトロウェイ」の製品名で販売している。第一三共の主力抗がん剤「エンハーツ」と同じく、標的に結合する抗体とがん細胞を攻撃する薬剤を組み合わせた抗体薬物複合体(ADC)技術を使う。

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