
山梨県がサントリーホールディングスなど民間10社と共同で同県北杜市に建設していた国内最大規模のグリーン水素製造拠点が完成し、11日に稼働式典が開かれた。再生可能エネルギー由来の電力で製造した水素は、隣接するサントリーの天然水工場などで利用される。年間で最大1万6000トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減する能力があるという。
式典で長崎幸太郎知事は「グリーン水素の社会実装がいよいよ現実のステージに入った。ここから始まるのは世界を驚かせるエネルギー革命だ」と強調した。同拠点は「グリーン水素パーク白州」と命名された。
事業に参画するのはほかに東レ、東京電力ホールディングス、カナデビア、三浦工業など。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業の一つで、事業費は約186億円。2026年末までシステムの信頼性や経済性向上などの知見とノウハウを蓄積し、商用展開につなげていく。

製造拠点には2棟の建屋があり、それぞれカナデビアと独シーメンス・エナジーの水電解装置システムで水素を製造する。装置を動かす電力は合計16メガワット。サントリーの天然水工場まで敷設した約2キロメートルのパイプラインを通じて水素を運び、三浦工業の水素ボイラで蒸気を生産して殺菌工程などに利用する。
製造するグリーン水素は将来、サントリー白州蒸溜所のウイスキー製造の熱源にも使われる予定。周辺地域の工場や東京都などにも供給する拠点としても整備していくという。
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