
経済産業省は16日、2025年10〜12月期の国内粗鋼生産量が前年同期比2.4%減の2023万トンになる見通しと発表した。8四半期連続の減少となる。建設業界での人手不足や資材高による工期の遅れが響いているほか、自動車などの製造業の需要も低迷する。米国が鉄鋼製品やアルミ、自動車など品目別に導入した関税についても織り込んだものの、影響は軽微としている。
10〜12月期の鋼材需要は1847万トンで3.5%減る。普通鋼鋼材の自動車向けは1.6%減の240万トンの見込み。7〜9月との比較では1.2%増となったが、需要が上向かず小幅増にとどまった。
輸出向け鋼材需要は6.1%減の620万トンの見込み。中国における日系自動車メーカーのシェアが低下しているほか、東南アジアや欧州における経済減速などが響いた。
米政府は鉄やアルミを素材に使う製品を「派生製品」として課税対象にし、8月には建設機械や工作機械も対象に加えた。ただ、輸出額が大きい建機では在庫調整が進み前年同期並みに回復する見込みで、経産省は「大きな影響が出ているという認識は持っていない」とした。
粗鋼は主原料の鉄鉱石などを溶かして成分を調整したもので、経済活動の代表的な指標とされる。
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