
【ロンドン=犬嶋瑛】20日の欧州株式市場で仏金融大手BNPパリバ株が急落した。2000年代のスーダン内戦で発生した虐殺に対し、米ニューヨーク州マンハッタンの連邦地裁の陪審団は17日にBNPパリバがスーダン政府を金融面で支援したと認定した。賠償対象は3人としたが原告は2万人超おり、賠償範囲が広がる可能性を懸念した売りが膨らんだ。
BNPパリバ株は20日の取引を前週末比8%安で終えた。取引時間中には11%安と、6カ月ぶりの安値を付けた。この日は米地銀の信用問題を巡る過度な警戒感が後退し、フランスの株価指数CAC40は前週末比で上昇して始まったが軟調な金融株につられて下落に転じる場面もあった。

米ニューヨーク州連邦地裁は17日、スーダンで生活していた原告3人に対する約2100万ドル(約32億円)の賠償責任を認定した。被害を受けたとする原告は全体で約2万3000人にのぼり、今後訴訟をめぐる賠償や和解金の支払いが増えるとの懸念が広がった。
BNPパリバは20日発表した声明で「この結果は明らかに誤っており、当行が提出を許可されなかった重要な証拠を無視している」と反論し、控訴する方針を示した。今回の判決について「あくまで3名の原告に限定されたものであり、それ以上に適用されるべきではない」として追加的な和解や責任を認める考えはないと強調した。
米政府は1990年代当時に国際テロ組織アルカイダの指導者だったビンラディン容疑者に居場所を提供したなどとしてスーダンをテロ支援国家に指定し、制裁を科した。制裁後も同行は当時のバシル政権の関係者にドル送金などの金融サービス提供を続け、その事実を隠していたとして2014年に約90億ドルの制裁金支払いを認めた。
仏紙ルモンドは「同行による取引がスーダン政府の綿花や石油、その他の資源輸出を可能にし、数十億ドル規模の資金獲得を助けた」とする原告側弁護士のコメントを紹介した。
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