バンダイが開くプラモデル博物館。入り口には実物大のガンプラを飾る(20日、静岡市)

バンダイナムコホールディングス傘下のバンダイスピリッツ(東京・港)は9月2日、静岡市内に同社初のプラモデル博物館を開く。プラモに関する技術の歴史や「ガンプラ」を展示し、プラモ製作を体験できるようにする。往年のファンから子供まで楽しめる作りにし、「模型の世界首都」を掲げる静岡市から世界へものづくりの魅力を発信する。

名称は「BANDAI HOBBY CENTER PLAMO DESIGN INDUSTRIAL INSTITUTE MUSEUM(バンダイホビーセンター・プラモデザイン・インダストリアル・インスティチュート・ミュージアム)」。略称「BHC PDIIミュージアム」として、静岡鉄道の長沼駅から徒歩3分ほどの場所に立地する。

20日、報道陣に博物館と7月に稼働した新工場を公開した。バンダイスピリッツの榊原博社長は「生産工程を学べる体験型の施設にする。将来のものづくり人材が生まれるきっかけにしたい」と期待を示した。4300体以上のプラモをそろえるほか、実物大ガンダムのモニュメントも設置した。

プラモの企画から設計、製作までの流れを勉強できる

最大の特徴は来場者が「プラモデザイナー」として設計や色づけ、包装などの作業を大型ディスプレー上で体験できることだ。博物館に入ると、まずガンプラなどを作る際のイラストを観察したり、企画から販売までの流れを商品と共に学んだりする。バンダイが独自に開発したプラモ用射出成型機も展示されている。

その後、来場者は配られたカードを使い、ディスプレー上で仮想のプラモをつくる。ガンダムのプラモをつくる場合は脚や腰の太さ、それぞれの配色を細かく選べる。溶かしたプラスチックを金型に押し込んでできるプラモの原型「ランナー」の製作も2次元で再現する。

ガンプラのモデリング作業では各部位の太さや大きさなどをタッチパネルで操作して製作する

最後に包装箱のデザインを決め、プラモデザイナーとしての実力を評価される。博物館からは工場で動く射出成型機や搬送ロボなどを見学でき、担当者は「体験を通じてここで働きたいと思えるようなミュージアムにした」と話す。

営業時間は午前9時から午後5時半で、所要時間は70〜90分ほど。公式サイトでの事前予約が必要で、料金は大人(13歳以上)が2860円、子どもが1100円。日曜・月曜が定休日。「既に土曜日は予約でいっぱいの日も多い」といい、開館日や営業時間の拡大も今後検討する。来園者限定のプラモも用意する。

バンダイは静岡市に国内唯一のガンプラ製造拠点を構えている。現工場の隣に新工場とミュージアムが完成した。新工場は既に稼働しており、26年度にも23年度比で生産能力を35%増やすことを目指す。

バンダイのプラモ新工場には独自開発の射出成型機が並ぶ

静岡市はタミヤや青島文化教材社といった大手が本社を置く「プラモの聖地」でもある。市はプラモのモニュメントを街中に設置し、プラモ大手と組んだ体験会などで観光需要の取り込みと子どもの製造体験を提供している。国内最大級のプラモ展示会「ホビーショー」も市内で毎年開催している。

長沼駅は「バンダイホビーセンター前」という副駅名が付いた。今後、ラッピング電車も走る。大型商業施設内で博物館開業に合わせた親子向けのプラモ製作体験なども用意する。

(佐伯太朗)

【関連記事】

  • ・バンダイスピリッツが静岡市にプラモデル博物館 9月、制作体験も
  • ・静岡ホビーショー開幕 海外から熱視線、サウジなど駐日大使も視察
  • ・静岡市を「ゲームの首都」へ 駿河屋、今秋にも駅近くに専門旗艦店
  • ・静岡鉄道、「ガンプラ博物館」とコラボ オープン記念の特別電車
地域ニュース

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。