
【ニューヨーク=谷本克之】第1次トランプ米政権で首席戦略官を務めたスティーブン・バノン氏や英国のヘンリー王子の妻メーガン妃が、人間の頭脳をしのぐ人工知能(AI)を指す「超知能」の開発禁止を求める書簡に署名したことが22日、分かった。
書簡は革新技術を管理する制度の研究などを行う米非営利団体のフューチャー・オブ・ライフ・インスティチュートが公表した。
書簡は人間の認知能力を大幅に上回る「超知能」の誕生で、人間の尊厳の喪失や国家安全保障上のリスクなどの懸念が生じると指摘している。「安全かつ制御可能な範囲内に収まるという幅広い科学的な同意および、国民の強力な賛同がない限り、超知能の開発の禁止するべきだ」と表明した。
書簡には同日時点で、「AIの父」と呼ばれ2024年にノーベル物理学賞を受賞した人工知能(AI)開発の権威、ジェフリー・ヒントン氏など著名人や専門家が1000人以上が賛同する。
署名した一人、コンピューターサイエンスを専門とするカリフォルニア大学バークレー校のスチュアート・ラッセル教授は「人類を絶滅させる可能性が非常に高い技術に対して適切な安全対策を求める提案に過ぎない」とコメントした。
超知能をめぐっては、米メタが6月に研究・開発する新組織「メタ・スーパーインテリジェンス・ラブス(MSL)」を立ち上げ、米オープンAIも超知能の実現に意欲を示す。民間企業主導で開発が進むものの、学術界を中心に反発の声が上がっている。
AIへの規制に関しては、欧州連合(EU)は包括規制に乗り出したものの、米国ではトランプ政権が前政権が出したAIの安全性確保を目指す大統領令を廃止するなど対応が分かれている。
【関連記事】
- ・メタ、AI精鋭そろえ「超知能」に傾倒 メタバース11兆円損失で焦り
- ・OpenAI「超知能AIを10年内に実現」 孫氏と水魚の交わり
- ・Google、欧州AI規制の行動規範に署名 米テックの対応割れる
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。