
富士通は長崎県壱岐市の病院向けに、人工知能(AI)で経営を支援するシステムを開発したと発表した。病院の電子カルテなどの医療関連データを集約、分析し、病床稼働率などを改善させた。新システムの活用により、病院の年間収入が約10%増加する可能性を試算した。
小規模病院を運営する社会医療法人玄州会(長崎県壱岐市)向けに、約3カ月でシステムを開発した。病院向けのシステム構築は長期間に及ぶことが多く、約3カ月という短期間で完成できたことは珍しいという。
新システムは大きく2つの業務を改善する。一つは患者の病状などに応じたベッドの割り当て業務だ。これまでは職員が人手で行っていたベッドの割り当てを自動化し、一般病棟の病床稼働率は従来の70%から90%に高めた。
もう一つは医療機関が満たすべき施設基準の管理だ。施設基準は診療報酬を算定するために定められた職員の配置数や設備などの要件で、病院は基準未達の場合、収入の減少などのリスクがある。
従来は膨大で複雑な施設基準への対応状況を病院職員が手作業で管理していたが、AIで自動化した。新システムでは基準の達成状況をAIが可視化し、基準に満たない場合はAIが改善策を提案する。
全国の病院の約7割が赤字となっている。今回開発したシステムは2026年内に、国内のその他の医療機関にも展開することを目指す。
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