日本医師会が今年春に実施した調査で、紙のカルテを使う診療所の54%が電子カルテの導入について「不可能」と回答した。小規模な医療機関を中心に、費用負担の重さや操作の煩雑さを懸念する声が上がる。
調査は4月18日〜6月1日に実施した。紙のカルテを活用している全国の診療所を対象に5466件の回答を得た。
不可能と答えた割合を開設者の年代別にみると、80代以上が64%で最も高かった。70代が61%、60代が53%と続いた。従業員数別では5人未満が68%で最高だった。5人以上10人未満は53%、10人以上は39%だった。
導入できない理由を3つまであげてもらったところ「操作に時間がかかり、診察が十分できなくなる」と「費用が高額であり、負担できない」との回答がともに1406件で最も多かった。
厚生労働省によると、電子カルテの普及率は2023年に一般病院で66%、診療所では55%にとどまる。電子化の推進によって診療情報を一元管理することで、過剰な検査の抑制や事務の効率化を期待できる。

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