
アスクルがサイバー攻撃を受けた問題で、「RansomHouse(ランサムハウス)」と名乗るハッカー集団が30日、インターネット上で犯行声明を公開したことがセキュリティー関係者への取材で分かった。同社から盗んだと主張する1.1テラ(テラは1兆)バイト分のデータの一部を公開している。
関係者によると、犯行声明は30日夜に公開された。公開されたデータはアスクルと顧客とのやり取りの一部とみられる。身代金の有無や交渉期限などの情報は確認されていない。アスクルの担当者は「犯行声明は把握している。現在確認中で、何か分かり次第発表をする」と話している。
セキュリティー専門家によると、ランサムハウスは2021年末ころから活動が確認されている集団。過去には米半導体大手や他の日本企業も攻撃したと主張している。
アスクルは19日にサイバー攻撃を受け、ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)に感染。物流システムの一部が暗号化され、通常の手順では起動できない状態に陥った。この影響で通販サイトのオンラインでの受注を停止している。
29日になって佐川急便に一部の荷物を委託する形で試験配送を始めた。ファクスで受注し、医療機関や介護施設など一部の法人向け荷物を佐川に引き渡す。今後は検証を踏まえて顧客数や対象商品を広げる。29日時点で個人情報の流出は確認されていなかった。
サイバー攻撃から日が経つにつれ、影響は深刻になっている。アスクルは安価で高品質な医療用品に強みがあり、現場で使用する備品の8割ほどを同社から調達しているクリニックもある。顧客の中には院内の備蓄が切れかけているクリニックもあり、医療現場の負担が日に日に増している。他のオフィス通販大手には注文が殺到し、新規の会員登録や商品の配送に通常よりも時間がかかる状況になっている。
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