
仮想移動体通信事業者(MVNO)の運営支援を手掛けるミークは30日、非通信事業者が自社ブランドで携帯電話事業を始められるサービスを開始したと発表した。通信事業に関する知見やシステム開発を要することなく事業に参入できる手軽さを売りにする。小売りやインフラ企業などのニーズを見込む。
8月に立ち上げた子会社のミークモバイル(東京・渋谷)が手掛ける。顧客企業はサービス名称や料金プランを選ぶだけで、自社ブランドの名で携帯サービスを提供できるようになる。参入障壁となる通信インフラの構築をはじめ、総務省への届け出、顧客管理や課金システムの開発などをミークモバイルが担う。
ミークモバイルが提供する共通基盤を活用することで、立ち上げまでの期間を短縮しコストも減らす。3カ月ほどでサービスを始められるという。自社でMVNO基盤を構築する場合、通常は6カ月以上の開発期間がかかっていた。
携帯利用者からの料金の徴収などはミークモバイルが担当する。同社は利用者から得た売り上げの一部を「販売手数料」として顧客である小売りなどの企業に支払う。各企業はその手数料を原資として、自社サービスへのポイント還元やクーポンの提供などに活用できる。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアのネットワークすべてに対応する。料金体系は5プランをそろえ、最低容量の4ギガバイト(GB、ギガは10億)では月額980円、最大容量の57GBでは同3980円とする。
想定する顧客企業は、自社アプリやポイントサービスと連携できる小売りやインフラ企業、ファンクラブを運営するスポーツチームなどだ。使い切れなかった容量をポイントや特典に交換する仕組みをつくることも可能だ。こうした策を通じて各社独自のブランドによる経済圏の構築も後押しする。
ミークはソニーグループ傘下で、3月に東京証券取引所グロース市場に上場した。キャリアから回線を借りて携帯サービスの立ち上げを支援するMVNE(仮想移動体通信事業支援者)だ。ソニー系の格安スマホサービス「NUROモバイル」や、タクシー配車アプリのS.RIDE(エスライド)向けに回線を提供する。2025年3月期の単体の純利益は前の期比17%増の6億3300万円だった。
【関連記事】
- ・ミーク上場 峯村社長「人手不足でIoT市場は伸びる」
- ・ミーク21日上場、峯村社長「通信回線を黒子として支える」
- ・ファミマ、店舗換気を自動制御 CO2濃度検知を1100店に
- ・ファミマがデータ一元管理 ソニー系に出資、無人化視野
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。