
武蔵野銀行は筑波大学などと連携し、女性社員の健康や幸福度を高めることを目指す中小企業向け経営講座を開催する。講座終了後は個々の参加企業の実情に応じたコンサルティングも行い、効果を高める。埼玉は都市・郊外・農村が併存し「日本の縮図」とも呼ばれる。中小の現場で知見を積み上げつつ、全国に支援モデルを水平展開する考えだ。
新たに始める「女性に選ばれる企業を目指すウェルビーイング経営講座」は、2025年12月〜26年2月に、計3回開催する。中小企業の経営者と総務・人事担当者を対象に、20社の計40名を募集する。このほど受け付けを開始した。

女性の就業率の高まりを受け、月経関連のトラブルなど、女性社員の健康への配慮も欠かせなくなっている。講座では、女性のウェルビーイング(心身の健康と幸福)を高める経営の意義や先進事例などを学びつつ、自社の現状分析や今後に向けたグループディスカッションなども盛り込む。懇親会も実施し、受講者同士の横のつながりを生み出す。
中小経営者らのリスキリング(学び直し)が進んだ後は、改善に向けたコンサルティングなども実施する。環境整備に向けた施策の立案、女性特有の健康課題を解決する人工知能(AI)アプリの紹介などにつなげる。
両者の連携は、内閣府の大型研究開発プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の中で生まれた。プログラムで採択された課題の一つが「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」で、子育て世代や女性など、国民の一人ひとりの多様な幸せを最大化することを目指している。
単に理論を組み立てるだけでなく、成果を実社会に還元することを狙っており、筑波大学スマートウエルネスシティ政策開発研究センターの久野譜也センター長がプログラムディレクター(PD)として研究や実証実験などをリードしている。同行はこれまで、センターとの人的交流、健康経営セミナー共催などを手掛けてきた。
久野センター長は「女性特有の健康課題による経済損失は、年間3.4兆円との試算も出ており、日本の競争力・産業力にも直結している」と指摘。全国共通の課題解決に向け「SIPではあえて、中小から先に攻めていく」という。高い科学的知見を有する筑波大、地域との強固なネットワークを持つ武蔵野銀が双方の強みを生かし、女性から選ばれる風土づくりを後押しする。
武蔵野銀は地銀間の広域連携「TSUBASAアライアンス」などを通じ、他行との知見共有などを行ってきた。長堀和正頭取は「数多くの成功事例、知見は他の大学や地方銀行にも横展開できる。埼玉だけで終わらせず、日本全国の経済活性化につなげていく」と強調した。
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