高校生の制服代がこの1年で平均1万円余り値上がりしたことが、国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が10月30日に公表した教育費に関する調査結果から判明した。物価高を背景に、卒業・入学にかかる費用が上昇している実態が浮かんだ。
調査は2025年8月、NGOによる子ども向けの給付金「新入学サポート2025」を利用した中学1年生、高校1年生とその保護者約2000人を対象にオンラインで実施。鳥取県を除く全国の中高生148人、保護者436人から回答を得た。
卒業から入学までにかかった経費を尋ねたところ、制服代の平均は中1が6万4656円で前年の調査から8325円増加。高1は8万621円で1万6円増えた。
担当者は「非常に驚いている。生地の代金や縫製費、その際の人件費などが上がり、価格に転嫁されているのではないか」と分析。調査に協力した千葉工業大の福嶋尚子准教授(教育行政学)は「材料費の高騰だけでなく、指定品として買うアイテムの数が増えている可能性がある」と指摘した。
国のGIGAスクール構想で1人1台利用する「パソコン・タブレット」は、高1では国公立の約半数、私立の約6割が有償。平均価格は7万9657円で、前年より8925円増えた。端末代を公費負担から保護者負担に切り替える自治体もあり、家計を圧迫している可能性がある。
高1の保護者に入学時の心配事を尋ねたところ、45%は「経済的な理由で就学が続けられない可能性がある」と回答。NGOは、授業料以外の経済的支援の拡充▽高校入学準備費用の支援▽パソコン・タブレット代の保護者負担に自治体差を生じさせない施策――などの必要性を提言している。【斎藤文太郎】
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