
【ニューヨーク=竹内弘文】米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは1日、2025年7〜9月期決算を発表した。株式売買は60億9900万ドル(約9400億円)の売り越しだった。売り越しは丸3年にあたる12四半期連続。米株式相場は最高値圏にあり、投資資金の回収を優先させる戦略がうかがえる。手元資金は総資産の3割を突破した。
キャッシュフロー計算書によると、期中の株式取得額は63億5500万ドルで株式売却額は124億5400万ドルだった。自社株買いは5四半期連続で見送った。投資回収を進めつつ自社株買いを控える姿勢からは「株式相場が割高」とのメッセージが透ける。
多くの機関投資家が運用の指標とする米S&P500種株価指数は7〜9月期、史上最高値を付けるなど上昇が続いた。期中の上昇率は8%に達した。

10月2日には米化学メーカーのオキシケムを米石油大手オキシデンタル・ペトロリアムから97億ドルで買収すると発表したが、決算期の7〜9月は目立った事業投資もなかった。
現金同等物に米短期債の保有額をあわせた広義の手元資金は、9月末時点で3816億ドルと過去最高を更新。総資産に占める比率は31%と、財務データを比較できる1988年以降で初めて3割を超えた。
純利益は前年同期比17%増の307億9600万ドルだった。米国会計基準では保有する上場株の評価損益を最終損益に反映する必要がある。9月末で2832億ドルの株式ポートフォリオを持つバークシャーの利益水準は株価変動で大きくぶれる。
投資評価益などを除く営業利益は34%増の134億8500万ドル。保険事業の引き受けなどが好調だった。
バフェット氏は25年末で最高経営責任者(CEO)を退任する予定で、今回がCEOとして最後の四半期決算発表となった。同氏は会長職は続け、後任のCEOにはグレッグ・アベル副会長が就く。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、毎年2月の年次報告書にバフェット氏が添えていた「株主への手紙」は26年からアベル氏が執筆することになるという。
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