JR沼津駅北口の映画館「シネマサンシャイン沼津」(静岡県沼津市大手町)は「2026年4月12日で閉館する」とホームページで発表した。沼津市内の映画館は他に郊外の商業施設ららぽーと沼津内の「シネマサンシャインららぽーと沼津」(同市東椎路)があるだけで、跡地に別の映画館が進出しない限り、沼津市中心部から映画館が消滅する。【石川宏】
沼津駅周辺は「百貨店と映画館がたくさんある街」として、かつて近隣市町から多くの人が訪れる“商都”として栄えた。百貨店は13年1月に閉店した西武沼津店を最後に全て閉店している。
沼津の商業史に詳しい郷土史家の長谷川徹さん(79)は「ピークだった1975年ごろは駅周辺に映画館が12館あった。周辺市町にも映画館はあったが封切館ではなかった。沼津は歓楽の街、レジャーの街だった」と説明する。そして「人が車で移動するようになったのが大きいが、閉館は寂しい限り。沼津の魅力は半減どころかゼロになった。ここまで魅力のない街になるとは」と嘆いた。
シネマサンシャイン沼津は2006年4月15日の開館で、沼津の映画館としては後発。しかし8スクリーンがあるシネコンで、うち1スクリーンは15年の改装で県内で初めて座席が動く4DXシアターとなった。閉館の理由は入居ビルとの20年間の定期借家契約の満了のためという。
シネマサンシャインを運営する佐々木興業(東京都豊島区)の佐々木武彦社長は「定期借家契約は満了後に再契約できるか分からない。沼津地区での映画興行を継続させるため、三井不動産側の誘致に応えて(19年に開店した)ららぽーとに進出した。ららぽーとに他の興行会社が進出した場合、我が社が駅前だけで事業を続けられるかも考慮した」と説明。ららぽーと進出時点で、閉館は半ば既定路線だったという。
シネマサンシャインららぽーと沼津は10スクリーンがあり、4DXの他に大型スクリーンを備えたIMAXシアターもある。入場者数もシネマサンシャイン沼津の倍以上という。
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