
三越伊勢丹ホールディングス(HD)など百貨店大手4社が4日発表した10月の既存店売上高(速報値)は、全社とも前年同月比プラスだった。プラスは2カ月連続。中国の国慶節(建国記念日)休暇や大阪・関西万博の効果で、免税売上高が全体を押し上げた。低調だったインバウンド(訪日外国人)消費の回復基調が続くかは見通せない。
免税売上高はJ・フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店、高島屋、エイチ・ツー・オーリテイリンググループの阪急阪神百貨店の3社が2ケタ増だった。既存店売上高も大丸松坂屋が9.3%増、高島屋が8.3%増、阪急阪神が5%増といずれも伸びた。
三越伊勢丹の首都圏5店舗の免税売上高は0.2%増だった。国慶節期間は客数、客単価ともにプラスだった。既存店売上高は5.9%増えた。

インバウンド消費は25年春以降、24年の円安や値上げ前の駆け込み需要の反動で高額品を中心に一服感が出たため、夏ごろまでは客単価が大幅に減っていた。10月は化粧品のような消耗品に加え、高級ブランド品を含む一般物品の売上高も好調で、各社で客単価が伸長した。
このまま売上高が持ち直していくかは見通せない。11月以降は前年の円安効果に加え、店舗によっては大阪万博効果の剝落もある。Jフロントは「店頭売上高は万博終了後に減速傾向がみられ、取り組みが必要だ。免税売上高の動きも見通しにくい」としている。
国内売上高は全社が増収だった。大丸松坂屋は外商顧客向けの大型催事などが寄与し5.5%増、高島屋は北海道物産展が好調で7.2%増だった。三越伊勢丹は防寒品の好調などで7.2%増、阪急阪神も海外催事や宝飾品の好調が寄与し前年超えだった。
【関連記事】
- ・百貨店売上高、9月2カ月連続増 阪神優勝・万博効果で大阪9.1%増
- ・百貨店4社、9月は全社増収 前年円高シフト反動で2社が免税増収
- ・百貨店の歳暮商戦始まる 三越は実演販売、大丸は菓子の新ブランド
- ・主要百貨店、元日休業へ 26年はそごう・西武も全店休みに転換
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。