
【ニューヨーク=清水石珠実】米保守系メディア大手のフォックス・コーポレーションは21日、米国で動画配信サービスを立ち上げた。サービスの月額料金は19.99ドル(約2960円)。傘下のケーブル報道局「FOXニュース」は視聴者の平均年齢が69歳と高齢化しており若返りが急務だ。動画配信で若者層の取り込みを狙う。
動画配信サービス「FOX One(フォックス・ワン)」を立ち上げた。サービスに契約すると、主力のFOXニュース以外に、ビジネス局「FOXビジネス」の番組やフォックス系列のスポーツ局が中継するスポーツの試合も視聴できるようになる。
米国では若者層を中心に高額なケーブルTVを契約しない人が増えている。フォックスは、こうした「脱・ケーブルTV世帯」が6500万以上あるとみている。新しい動画配信サービスで、こうした層の開拓を目指す。
米政治広告調査会社アドインパクトは4月、トランプ米大統領の関心を引こうとする団体が保守系テレビFOXニュースへの政治広告を大幅に増やしているとの分析を発表した。2025年のFOXニュースへの政治広告支出は調査時点までに1900万ドルに上り、全米のテレビ局全体への支出の69%を占めた。
トランプ氏はFOXをよく視聴するといわれ、閣僚や高官らが毎日のように出演して政権の政策を訴えている。
米調査会社ニールセンによると今年5月、テレビ総視聴時間に占める割合で動画配信がCATVと地上波を合わせた「従来型」の合計を上回った。動画配信が従来型を上回るのは、21年5月の調査開始以来で初めてだった。テレビ視聴の中心は動画配信に移りつつある。
メディア各社は報道やスポーツなどの生中継を動画配信に移行する動き強めている。
21日には米ウォルト・ディズニー傘下のスポーツ局「ESPN」も同局や系列局で放送するすべてのスポーツ中継などが見放題となる配信サービスを始めた。月額料金は29.99ドルとした。米メディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)傘下の報道局「CNN」も、今秋に動画配信サービスを本格稼働する計画を持つ。
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