コスト構造改革を進めるアラミド繊維

帝人は5日、2026年度までにタイヤの補強材などに使われるアラミド繊維事業で400人以上の人員削減を実施すると発表した。同事業の人員の約3割にあたる。対象となるのは海外の製造拠点などの従業員。約150億円規模のコスト削減効果を見込む。中国や韓国メーカーの台頭でコスト競争が激化するなか、構造改革で収益改善を急ぐ。

人員削減は既に実施しており、24年度から26年度までの3年間で400人以上の削減を見込む。これまでの削減人数は非公表だが「計画通りに進捗している状況」(帝人)という。

アラミド繊維はタイヤの補強材のほか、洋上風力発電の係留索や海底ケーブルなどで需要が見込まれているが、競争環境は厳しくなっている。タイヤの補強材や防護服に使われるパラ系アラミド繊維「トワロン」では中国や韓国メーカーが生産能力を拡大しており価格が下落している。欧州の景気低迷やトランプ米関税によるユーロ高ドル安も響く。

内川哲茂社長は「これまではシェアも利益も、という状況だったが、高付加価値領域に生産を集約し高収益な体質を取り戻す」と話す。人員削減のほか生産体制の見直しも推し進め収益性を改善する。

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