ニューヨーク市内にあるNYタイムズ本社=遠藤啓生撮影

【ニューヨーク=清水石珠実】米新聞大手ニューヨーク・タイムズ(NYT)が5日発表した2025年7〜9月期決算は、純利益が前年同期比27%増の8164万ドル(約125億7000万円)だった。ニュース報道が中心の電子版読者に加え、ゲームやスポーツ情報などコンテンツを組み合わせた上位プランに移行を促す戦略で収益を伸ばした。

売上高は10%増の7億82万ドルだった。1株当たり利益(EPS)は0.50ドル(前年同期は0.39ドル)だった。特殊要因を除いたEPSは0.59ドルで、市場予想(0.53ドル程度)を上回った。

NYTの電子版は基本月額約23ドル。ゲームなどのコンテンツを組み合わせた月25ドルの「バンドルプラン」への移行が奏功し、7〜9月期にデジタル読者1人あたりの売上高は4%近く増加した。デジタル読者全体における組み合わせ購読比率は5割を超えた。

売上高の内訳では購読料収入が9%増、広告収入が約12%増となった。紙の新聞向けの広告は7%減となったが、デジタル広告に関する収入が20%以上増えた。

25年9月末時点での総有料読者数は1233万人。うち1176万人が電子版に加え、パズルゲーム利用者なども含めたデジタル購読者だった。NYTは「27年末時点で総有料読者1500万人獲得」を経営目標に掲げる。

NYTは、電子版の購読者に対して「バンドル」と呼ばれるパッケージ購読に移行するよう促している。購読すると、クロスワードのようなゲームやレシピなども利用できるようになる。22年には、スポーツ情報専門サイト「ジ・アスレチック」、単語当てゲーム「Wordle(ワードル)」を相次ぎ買収し、コンテンツ強化に力を入れてきた。

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