
【ニューヨーク=清水石珠実】米IBMが2025年末までに数千人規模の従業員を削減することが5日、わかった。人員配置の見直しで業務を効率化するためとしている。米IT(情報技術)企業では人工知能(AI)の普及をにらんだリストラが相次いでいる。
IBMは人員削減について「顧客が必要とする業務を遂行できる適切なスキルを持つ人材を確保するため、定期的に人材構成を見直し、必要に応じて再調整を行っている」と認めるコメントを出した。
IBMの世界の総従業員数は24年末時点で約27万人。同社は人員削減の規模は全体の数%としている。仮に削減が全体の1%だと仮定すると、3000人近い従業員が影響を受ける。人員削減と並行して採用も継続するため、総従業員数は大きく変わらない可能性は残る。
IBMは人員削減の理由をAIによるものと明言していない。ただ、アービンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)は23年にAIの台頭を受けて「単純な繰り返し作業に当たるバックオフィス業務職の3割程度が今後5年間でなくなる」との見方を示していた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、クリシュナ氏が「自律的に作業を行う『AIエージェント』の活用を通じて、数百人の人事担当者の業務を代替した」と述べたと報じている。
米国ではIT企業を中心に人員削減の発表が相次いでいる。米アマゾン・ドット・コムは事務職やエンジニアを中心に1万4000人の削減を発表し、米マイクロソフトも5月と7月に計1万5000人の削減を発表した。
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