2027年までにランプの種類ごとに蛍光灯は段階的に廃止となる=東京都内で2025年10月31日、嶋田夕子撮影
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 蛍光灯の製造と輸出入が禁止される2027年末まで、あと2年あまり。だが、製造停止をいまだ知らない人も多いのが現実だ。照明の発光ダイオード(LED)化を進める際にも交換方法を誤れば、火災など重大事故につながる恐れがあるという。

 パナソニックが9月に20~70代の男女約7000人にインターネットで調査(複数回答)したところ、自宅の照明に「蛍光灯」を使っているとした人は61・5%と半数を大きく超えた。

 一方で、蛍光灯の廃止について知っているかを尋ねると「聞いたことがない」が42・8%。「聞いたことがある」は47・9%だったものの、「詳しい内容まで知っている」人は9・3%にとどまった。

配線器具の例。これが天井についていれば自身で照明器具の交換ができる=パナソニック提供
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 蛍光灯が廃止になることを知った後の行動を複数回答で尋ねたところ「すぐに自宅の蛍光灯をLEDに交換した」は8・1%と少数派だった。「特に何も思わなかった、行動しなかった」が43・8%を占め、「蛍光灯がつかなくなってからLEDに交換しようと思った」も23・1%と「先延ばし派」も多かった。

 27年末が近付けばLED化需要は急増するとみられるが、パナソニックは「単に蛍光灯をLEDに替えるだけで照明器具が使い続けられるわけではない」と警鐘を鳴らす。「照明器具にも寿命がある。寿命を超えて使用すると発火や発煙のリスクがある」という。

 日本照明工業会によると、照明器具の適正交換時期は設置後8~10年。「直ちに交換が必要」という耐用の限度は15年とされている。10年を過ぎると、電気回路や配線部品の劣化が進み、故障を引き起こすという。

注意事項を守らずにランプを交換した再現実験で発煙・発火した照明器具=NITE提供
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 だが、照明器具がまだ新しくてもLED化には注意が必要だ。製品評価技術基盤機構(NITE)によると、既存の照明器具の蛍光灯ランプをLEDランプに交換したところ、やり方を誤ったことで火災などが発生したとの事故報告が棒状の「直管形」と丸い「環形」について15~24年で計12件あった。蛍光灯の照明器具とLEDランプの「点灯方式が合っていなかった」ケースが目立ったという。

 「電球形」ランプの場合、口金のサイズが合っていれば、基本的に今まで使っていた照明器具にそのままLEDランプを付け替えることができる。

 問題は調光機能付きや浴室照明のタイプ。これにはそれぞれ対応する専用のLEDが必要だ。NITEの担当者は「説明書に書かれている注意事項の確認は必須」と注意を促している。

電気工事事業者による照明器具交換工事=NITE提供
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 「引っかけシーリング」など天井に照明器具を取り付けるための専用の受け口がある場合は、自身で照明器具を簡単に取り付けられるが、専用の受け口がない場合は専門業者による工事が必要となる場合もある。

 業界団体やメーカーは長期間使用している照明器具の場合、器具丸ごとの交換を推奨。LED対応の照明器具であっても「10年以上経過しているなら点検や交換をしてほしい」と呼びかけている。【嶋田夕子】

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