
中堅日本酒メーカーの梅乃宿酒造(奈良県葛城市)は、奈良の食文化や観光資源と酒を組み合わせたプロジェクト「奈良エクスペリエン酒(シュ)」を始めた。第1弾として、日本大会で優勝したバーテンダーと連携した新しいカクテルなどを提供する。酒を通じて地域の魅力を発信し、製品の消費拡大と奈良の観光振興を目指す。
第1弾の注目点は、奈良県桜井市の著名なバー「THE SAILING BAR(ザ・セイリング・バー)」とのコラボレーションだ。バーテンダーの渡辺匠氏が考案した3種の新カクテルを6日から同店で提供し始めた。そのうちのひとつ「アマトマーニ」(価格は1870円)は梅乃宿酒造製のトマトのリキュールとジンなどを使う。

吉野本葛の製造・販売を手掛ける井上天極堂(奈良県御所市)とも連携する。奈良市内にある「天極堂奈良本店」の限定メニューとして「葛の沼」(価格は1100円)を6日から始めた。葛湯にバニラアイスや、梅乃宿酒造製の日本酒仕込みの果実リキュールをあわせる食べ方を提案する。

このほか、地元の書道サロンと連携してオリジナルの酒のラベルをつくる書道体験会を18日に梅乃宿酒造の直営店で開催する。
奈良市内で5日に開催した記者発表会で、梅乃宿酒造の吉田佳代社長は「奈良の魅力をより多くの国内外の人々に知ってもらい、何度も奈良を訪れてもらいたいという思いから、今回プロジェクトを立ち上げた」と話した。今後も地元企業と連携して新たな企画を打ち出したい考えだ。
ザ・セイリング・バーは世界の優れたバーを紹介するランキングに入り、同店を目当てに奈良県外からだけでなく海外からも旅行者が訪れる。渡辺氏は2010年のバーテンダー国内大会で優勝し、同年の世界大会で9位に入った経歴を持つ。渡辺氏は「お酒を通じての奈良での体験を楽しんでもらいたい」と話した。

梅乃宿酒造は1893年(明治26年)の設立だ。企業のパーパスとして「新しい酒文化を創造する」を掲げ、日本酒をベースにして果物と組み合わせたリキュールを次々と生み出すなど、ユニークな商品開発も手掛けている。同社の日本酒「葛城 純米大吟醸」は10月28日に都内で開催された高市早苗首相と米トランプ大統領の昼食会で提供された。奈良エクスペリエン酒により、観光と食文化を掛け合わせた新しい酒の楽しみ方を提案していきたい考えだ。
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