記者会見を終え、退室する日産自動車のイバン・エスピノーサ社長(左)とジェレミー・パパンCFO=横浜市西区の日産グローバル本社で2025年11月6日午後5時31分、和田大典撮影

 経営再建中の日産自動車が6日発表した2025年9月中間連結決算は、最終(当期)損益が2219億円の赤字(前年同期は192億円の黒字)だった。中間決算での最終赤字転落は、新型コロナウイルス感染拡大の影響があった20年9月期以来5年ぶり。多くの市場で販売が伸び悩んでいることに加え、トランプ米政権による関税措置の影響が利益を押し下げた。

 売上高は前年同期比6・8%減の5兆5786億円、本業のもうけを示す営業損益は276億円の赤字(前年同期は329億円の黒字)だった。4~9月の世界販売台数は7・3%減の148万台。北米市場では2・0%増えたが、その他の地域ではいずれも前年同期の実績を下回った。

日産記者会見のポイント

 26年3月期の連結業績予想で、未定としていた最終損益の見通しはリストラに伴う費用を算定中だとして引き続き開示を見送った。売上高は11兆7000億円(前期比7・4%減)、営業損益は2750億円の赤字(前期は697億円の黒字)に転落するとの見通しを既に公表している。

 横浜市のグローバル本社で記者会見したイバン・エスピノーサ社長は「利益を回復するため断固たるコスト削減を実施しながら、次の段階に向け新型車や重点市場、技術への取り組みを加速していく」と述べた。

 再建計画の一環として、日産は同日、本社の土地と建物を970億円で売却すると発表した。売却先は台湾系の自動車部品メーカー、敏実集団(ミンスグループ)などが出資する特別目的会社(SPC)で、26年3月期連結決算に特別利益739億円を計上する。得られた売却益は設備の更新などに活用するという。賃借料を支払ってビルを借り直す「セール・アンド・リースバック」という手法で、本社として引き続き20年間使用するとしている。

日産自動車の業績の推移

 加えて、メキシコにある独メルセデス・ベンツグループとの合弁工場での日産車の生産を11月に終了することも発表した。

 日産は5月、販売不振に伴う減損損失の計上などにより、25年3月期連結決算で過去3番目に大きい最終赤字6708億円を計上した。これを受け、27年度までに世界17工場を10工場に統合するとともに、グループ従業員の約15%に当たる2万人を削減することなどを柱とした経営再建計画を進めている。【鶴見泰寿】

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