JAのロゴマーク=曽根田和久撮影

 政府備蓄米の放出を巡り、全国農業協同組合中央会(JA全中)が、主食用米の価格に影響を与えない放出ルールを作るよう政府に求める方針であることが6日、明らかになった。石破政権下で小泉進次郎前農相がコメの「価格」に着目し、随意契約による安値で放出したことへの不満が背景にあるとみられる。

 6日の理事会で決定した。鈴木憲和農相に近く要請する。JA側は放出目的があいまいになっていることに懸念を抱いており、「価格急騰」を理由にした放出には今後反対する構えだ。

 要請書には政府が制度化を検討しているコメの民間備蓄に合わせ、官民の役割分担について考え方を記載。政府備蓄については「価格急騰への対応とせず、大きな不作などへの備えとして目的を明確化する」ことを求めた。「主食用米などの需給や価格に影響を与えないような運用・放出ルール」の検討も提起する。

 鈴木農相も、今後の備蓄米の放出について「量が足りないときはしっかりと出す。量が足りていれば出さない」との方針を示しており、価格高騰を理由にした放出は今後しない考えを示している。

 ただコメ不足で生じた米価高騰が再び起きた場合、価格抑制を目的にした安値での放出ができなくなると、消費者の不満が高まる恐れもある。

 このほかJA全中は、放出によって大幅に減った備蓄米の買い入れ(買い戻し)について政府に「適正な価格」の設定を求める。供給過剰でコメ価格が暴落した場合でも、農家の生産コストを下回らない価格帯を求めるとみられる。現在100万トン程度を適正としている備蓄水準についても「100万トン以上の確保」を要求する。【中津川甫】

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