
太陽ホールディングス(HD)は7日、同社のガバナンス体制の見直しに関する報告書を開示した。日本産業推進機構(NSSK)や米KKRなど複数のファンドから提案を受けている株式非公開化への対応については「2025年度内の方針公表を目指す」とした。
同日の25年4〜9月期連結決算説明会で、斎藤斉社長は非公開化提案を巡り「中期経営計画に掲げた目標は達成できると考えている。提案に自社独自だけでは得られない価値があれば真摯に検討するが、非公開化しなければできないものはない」と述べた。
太陽HDへの非公開化提案については、同社株の約20%を保有する筆頭株主のDICが24年末ごろから複数回、提案の真摯な検討を促してきたが進まなかったと指摘している。その要因として当時の佐藤英志社長の影響によるガバナンス不全があると主張し、DICは25年6月の太陽HD定時株主総会で佐藤氏の再任に反対した。
株主総会では太陽HD株の約15%を保有する香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントや太陽HD創業家なども佐藤氏再任に反対し、同氏の取締役選任議案を否決した。これにより佐藤氏が社長を退き、副社長だった斎藤氏が社長に昇格した経緯がある。
オアシスが佐藤氏再任に反対した理由は、佐藤氏の肝煎りで太陽HDが17年に参入した医薬事業への疑問からだ。長期収載品と呼ばれる特許切れの先発薬を手掛けるが、薬価引き下げなどを受け直近2年で合計118億円の減損損失を計上している。オアシスは医薬事業を「企業価値破壊的」と批判し、電子部品材料事業に特化するよう求める。
株主総会直後に社長に就いた斎藤氏の下で、太陽HDは前社長の佐藤氏を医薬事業子会社のトップに残し上席専務執行役員に就けている。同社が7月に出した声明では佐藤氏は「あくまで医療・医薬品事業の暫定的な責任者として事業運営に携わる」とし、「当面の間」佐藤氏が続けるが「速やかに体制変更を実現する」と説明していた。
同社は7日公表の報告書に「現経営陣の下で中期経営計画の収益改善施策を推進し、加重平均資本コスト(WACC)を上回る投下資本利益率(ROIC)の早期実現を図ることが、企業価値の最大化に資する」と記した。25年4〜9月期決算で医薬事業の売上高は前年同期比22%増の184億円、営業利益は1.6倍の24億円だった。
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