
産業技術総合研究所は5日、先端半導体を試作する設備を国内の企業や大学向けに開放したと発表した。装置メーカーや材料メーカーが自社の技術を持ち寄り、先端半導体の製造工程に適合するかどうかを検証できる。同様の設備を企業などに開放するのは国内で初めての試みという。
この設備で検証するのは回路の線幅が2ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下の半導体に使われる「ゲート・オール・アラウンド(GAA)」と呼ばれる構造の要素技術だ。GAAは複雑な立体構造で技術開発が難しいため、試作や検証に使える拠点が必要だ。
海外ではベルギーの国際研究開発機関imecや米ニューヨーク州の半導体研究拠点「アルバニー・ナノテク・コンプレックス」がこの技術開発を担っている。だが産総研によると、日本企業は技術の秘密保持の観点から使用しにくい面があったという。
新拠点は茨城県つくば市にある「産総研先端半導体研究センター」に設けた。GAA構造に不可欠な成膜やエッチングなどの製造技術を産総研が中心となって開発し、企業に試作や検証をしてもらう環境を整えた。産業的に主流の直径300ミリメートルのシリコンウエハーに対応している。
産総研の石村和彦理事長は「日本が強みを持つ装置メーカーや材料メーカーは、各社のニーズに合わせた柔軟な開発ができるようになる」と期待する。半導体を研究する大学も設備を利用できる。
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