高市早苗政権の経済政策を議論する「日本成長戦略会議」の初会合が10日、官邸であり、近く予定する経済対策の取りまとめに向けた重点施策が示された。日本成長戦略本部が設定した17の戦略分野のサプライチェーン(供給網)強化や研究開発を支援する方針のほか、企業規模を問わず設備投資を促進するための減税措置の創設などが盛り込まれた。
政府は来年6月をめどに高市政権が重視する造船や量子など17分野の成長戦略をまとめる。今回示された重点施策はその中でも速やかな着手が必要だとして、補正予算での措置などを念頭に置いている。
17分野の競争力強化へ、民間の投資を引き出す設備投資促進税制の創設を検討する。投資額の一定割合を法人税から差し引く税額控除や、投資初年度に減価償却費を一括計上できる仕組み、中小企業のみだった対象を企業規模を問わず拡大することなどが想定されている。経済産業省が8月、税制改正要望で求めていた。経済対策に盛り込んだ後、年末の2026年度税制改正で議論される見通し。
ただ、政府はこれまでも投資促進税制を複数導入してきたが、企業の剰余金が投資に回りにくいのが課題だった。近年は人手不足やデジタル化などを背景に、23年度の設備投資額は約30年ぶりに100兆円を超えて推移しているが、企業の内部留保も24年度に過去最高の637兆円を記録した。新たな税優遇でどれだけ投資を後押しできるかは不透明だ。
政府は他に、企業が先行きを見通しやすくするための「複数年度の予算措置」として、分野ごとに基金の積み増しや「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」などの選択肢を検討する。航空・宇宙分野では、宇宙戦略基金で「速やかに1兆円規模」を目指すとした。【高田奈実】
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