牛丼チェーン「すき家」では材料高と異物混入が響いた

ゼンショーホールディングスが11日発表した2025年4〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比6%減の232億円だった。同期間では新型コロナウイルス禍以来5年ぶりの減益だった。牛丼の「すき家」事業でコメ価格が高騰し売上原価が膨らんだ。3月に国内の複数のすき家店舗で異物混入が発覚した影響で客数減が続いたことも響いた。

純利益は事前の市場予想(QUICKコンセンサス)の248億円を下回った。売上高は10%増の6129億円、営業利益は2%減の404億円だった。

牛丼の「グローバルすき家」事業の売上高は2%増の1490億円と増収だが、営業利益は37億円と72%減った。原材料のコメや牛肉の価格高騰で、売上高原価率が45.9%と1.1ポイント上昇した。同日の記者会見で、岩本玄グループ財経本部副本部長は「25年の新米価格もかなり上がっていて下期は油断を許さない状況。動向を注視しながら柔軟に対応していきたい」と話した。

強みの販売力で材料高を吸収できなかったことも響いた。3月に国内の複数のすき家店舗で発覚した異物混入の影響が続いた。既存店客数は4月が前年同月比16%減、5月が8.7%減、6月が8.5%減。その後は回復し、9月に1%減になったものの、4〜9月トータルでは7.3%減と低迷した。高単価製品の投入による客単価上昇で補えず、4〜9月の既存店売上高は1%増にとどまった。

寿司チェーンの「グローバルはま寿司」事業は堅調で、営業利益は23%増の119億円だった。北米を中心に海外で展開するテイクアウトすし業態の「グローバル中食」事業の同利益も18%増の153億円だった。

同社は同日、最大で22億円の自社株買いを実施すると発表した。取得株数の上限は20万株で発行済み株式総数(自己株式を除く)に対する割合 0.12%にあたる。事業法人株主による同社株売却による既存株主の影響を軽減する。

26年3月期の通期予想は据え置いた。売上高は前期比8%増の1兆2235億円、純利益は8%増425億円を見込む。

(中田千陽)

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