参院予算委員会で国民民主党の榛葉賀津也幹事長の質問に答える高市早苗首相(右)。左端は片山さつき財務相=国会内で2025年11月12日午後3時49分、平田明浩撮影

 高市早苗首相は12日の参院予算委員会で、所得税がかかり始める「年収の壁」の引き上げを巡る国民民主党と協議について、「国家、国民のためにお互いに関所を乗り越えていかなければいけない」と歩み寄りの姿勢をみせた。

 年収の壁引き上げを巡っては、自民、公明、国民民主3党が昨年12月に「178万円を目指して、来年から引き上げる」ことで合意。政府は2025年度の税制改正で、国民民主の訴えに応じる形で103万円だった所得税の課税最低限を、160万円まで引き上げた。ただ、年収850万円を上限に、4段階で基礎控除を上乗せする仕組みのため、課税水準が160万円になるのは年収200万円以下の人に限られる。国民民主は最低賃金の上昇を基に178万円までの引き上げを求めている。

参院予算委員会で質問する国民民主党の榛葉賀津也幹事長=国会内で2025年11月12日午後3時59分、平田明浩撮影

 国民民主の榛葉賀津也幹事長は12日の予算委で「(160万円が適用されるのは)人口にして約5%だ」と強調し、「(判断の根拠に)賃金上昇率を加えるのは当然だ」と訴えた。

 首相は高所得者の減税額が大きくなることなどから、「基礎控除を最低賃金に連動して調整するのは適当ではない」と否定的な見解を示した。一方、「政治の安定が必要だ。国民民主から自民党に具体的な提案があれば、しっかりと政調会長に受けて立ってもらう」と述べ、小林鷹之政調会長や小野寺五典税調会長に対し、国民民主と協議するように指示したことを明らかにした。【野間口陽】

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