JR西の本社で記者会見する倉坂社長(12日、大阪市)

JR西日本の倉坂昇治社長は12日の定例記者会見で、国が支払期間や額の変更を検討している整備新幹線の貸付料について「民間企業としての経営健全性を損なう改定は受け入れられない」と語った。開業後の30年間定額で払う現行方式を支持し、安定負担の重要性を訴えた。

整備新幹線は鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構、JRTT)が主体となって線路を整備し、JR各社は線路使用料として貸付料を支払う。国土交通省は建設コスト上昇や自治体の負担増への対策として、30年定額としている貸付料の支払期間や算定方法の議論を始めた。

倉坂社長は「開業30年という期間は長く、それ以降は老朽化の修繕負担など状況が変わる」と、30年を超える設定が難しいとの見解を示した。新型コロナウイルス流行で最終赤字に陥った時期も払い続けたとして「客の多寡で支払額が変動する不安定な制度で良いのか」と話した。

JR西は北陸新幹線で上越妙高―敦賀間を運行しており、年間約173億円の貸付料を鉄道・運輸機構に払う。敦賀―新大阪は建設コストと工期が大幅に増え、着工が見通せない。倉坂社長は「関西への直通乗り入れが利用者の利便性につながる」と、福井県小浜市から京都を通る現行の「小浜・京都ルート」支持を改めて示した。

貸付料を巡っては、2027年に北陸新幹線の高崎―長野間が開業30年を迎える。同エリアを運行するJR東日本の喜勢陽一社長も11日、「公文書で行政契約を結んだ内容として株主にも開示している」として、ルール変更にはJR側の同意が不可欠だとした。

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