IBMはニューヨーク州アルバニーの拠点で量子計算用のプロセッサーを製造する

米IBMは12日、量子コンピューターの「頭脳」となるプロセッサー(計算機)の製造時間を5割短縮したと発表した。ニューヨーク州アルバニーの研究拠点で大型のウエハー(基板)を使って効率的に生産・開発できるようにした。計画を公表していた先端品の開発も終え、2025年末までに顧客提供を始める。

同日の開発者イベントにあわせて公表した。量子計算用プロセッサーの製造を同社の研究拠点「アルバニー・ナノテク・コンプレックス」に移した。回路形成の基板を従来の200ミリメートルから300ミリメートルに大型化し、高速処理可能な先端装置を常時稼働させてスピードを速める。研究開発のスピードも2倍に高まるという。

IBMはこれまで量子コンピューター開発の行程表を公開しており、先端品のプロセッサー「クオンタム・ナイトホーク」も予定通り開発を終えたと発表した。従来より複雑な計算をこなし、正しい結果を得やすくなった。25年末までに顧客提供を始め、今後は計算能力を段階的に高めていく。

量子計算に使うためのソフト群も充実させる。きめ細かな制御を可能にする実行モデルなどを提供して、従来型のコンピューターと組み合わせて量子計算の正確な結果を得るために必要な計算のコストを100分の1以下に削減するとしている。

【関連記事】

  • ・米政府、量子コンピューター企業に出資検討 対中国で技術囲い込み
  • ・Google、量子計算「スパコンの1万倍高速」 成果に研究者は慎重評価
  • ・量子コンピューター、産業の応用広く ノーベル物理学賞3氏が道開く
BUSINESS DAILY by NIKKEI

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。