公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 自社が所有する金型を下請け業者に無償で保管させたとして、公正取引委員会は13日、商用車大手の「三菱ふそうトラック・バス」(川崎市)の下請け法違反を認定し、再発防止を勧告した。

 金型保管を巡り、完成車メーカーの違反を認定するのは、トヨタ自動車東日本(宮城県)に次いで2例目。公取委の担当者は「業界最大手の一角でサプライチェーン(供給網)の上位の企業が無償保管をさせると、下請けは保管コストで賃上げができず、別会社への委託コストも減る。川上から川下までの取引を阻害する行為だ」としている。

 公取委によると、三菱ふそうトラック・バスは2024年3月以降、バンパーやクラッチなどの部品の製造を委託する61社に対し、発注予定が長期間ないにもかかわらず、貸与した金型など計5694個を無償で保管させた。重さが10トンを超えるものもあり、年に1度、状態確認の作業も強要していたという。

 公取委は、こうした行為を下請け法が禁じる「不当な経済上の利益の提供要請」と認定。また、同社が6社に対し所定の期日内に代金約3579万円を支払わなかったとして、同法に基づく指導をした。

 公取委の調査に同社は、部品製造の単価を増額したことがあり「(保管費用は)増額分で賄われていると思った」などと説明。一方、下請け業者は「協議はなく、保管費用について伝えた時もはぐらかされた」と話したという。

 同社は遅延した代金を6社に支払ったほか、金型の保管費用についても、一部の下請け業者に計約3072万円を支払った。

 同社の下請け法違反は関東経済産業局が調査し、中小企業庁が公取委に勧告を求める措置請求を行っていた。【山田豊】

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