政府は13日、総合経済対策の原案を与党に示した。物価高で苦しむ家計と企業活動を下支えすることが重要だとして、「おこめ券」をはじめとする食料品の物価高騰に対する支援や、中小企業・小規模事業者の賃上げを後押しするために地方自治体が自由に使える重点支援地方交付金を拡充する。来年1~3月を想定した冬場の電気・ガス代の補助も盛り込んだ。政府は21日にも経済対策を閣議決定する方針。
原案では生活の安全保障・物価高への対応▽危機管理投資・成長投資による強い経済の実現▽防衛力と外交力の強化――を3本柱に据えた。
交付金を活用した物価高対策では、小中学校の給食費支援や、農林水産事業者の支援など、地域のニーズに応じて自治体が選択できるようにする。
原案には電気・ガス代の具体的な補助額までは盛り込まれなかったが、高市早苗首相は衆院予算委員会の答弁で、月1000円程度下げるよう補助していた今年7~9月よりも「深掘りする」と表明しており、協議が続く。
住宅価格の高騰には、長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の融資限度額の引き上げなどを講じる。
物価高で経営が悪化している医療機関・介護施設も支援し、従業員らの処遇改善に緊急対応する。
所得税がかかり始める「年収の壁」の見直しについては、基礎控除を物価に連動した形でさらに引き上げる措置を、2026年度税制改正で検討し、結論を得るとした。
税と社会保険料の負担で苦しむ中・低所得者の負担を軽減し、所得に応じて手取りが増えるよう、給付付き税額控除の制度設計に着手することも明記された。
危機管理投資では、造船、量子、重要鉱物など経済安全保障の重要分野に関して、新たな財源確保の枠組みについて検討に着手するとした。
柏崎刈羽原発「再稼働は重要」
原案では、原子力の活用を巡り、東京電力柏崎刈羽原発について個別に言及があった。新潟県が6日に発表した再稼働に関する県民意識調査では県全体で賛否が割れており、花角英世知事は年内にも再稼働の是非を判断する可能性がある。原案では「再稼働は重要であるとの認識に立ち、取り組みの具体化を進める」と記されており、原発への政権のスタンスが明確になった。【遠藤修平、加藤結花】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。