
パナソニックホールディングス(HD)やAGCは14日、ガラス一体型のペロブスカイト型太陽電池を公共・商業施設の窓に設置する実証実験を始めると発表した。実証期間は2025〜29年度の5年間。大型製品を安定して生産できる技術の開発にも取り組み、30年ごろの量産を目指す。
全国の公共施設や商業施設で、太陽電池をガラスで挟み込み、窓に設置する。実証実験の規模は非開示とした。発電量や発電効率などの計測のため、まず大阪府門真市のパナソニックHD本社近くで建設中の開発棟の窓に試作品を5枚設置した。太陽電池の一辺の長さは1メートル前後だ。実証にはパナソニック環境エンジニアリングも参加する。
エネルギー変換効率や耐久性を保ちつつ大型の太陽電池を作る技術開発にも取り組む。パナソニックHDは30センチメートル角のペロブスカイト型で18.1%の変換効率と、20年経過しても発電能力の8割近くを維持できる耐久性能を実現しているという。
14日開いた記者説明会でパナソニックHDの金子幸広技術開発部部長は「シリコン型の太陽電池パネルでは中国勢の価格攻勢に負けた苦い経験がある。同じ轍(てつ)を踏まないよう、窓の施工技術などを含めた強みを磨いて差別化していきたい」と話した。
ペロブスカイト型太陽電池は材料を塗って作ることができ、普及しているシリコン型太陽電池に比べ薄くて軽く、製造コストが安い。パナソニックHDなどが開発するタイプはガラス一体型のため曲げることはできないが、防湿機能の高いガラスに挟まれるため耐久性が高いという特長がある。
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