関西電力は原発の新設に向けてボーリング調査を進める(14日、福井県美浜町)

関西電力は14日、美浜原子力発電所(福井県美浜町)で次世代原発の新設に向けた地質調査を報道陣に公開した。ボーリング調査の結果や将来の資金調達環境などを踏まえて、実際に建設に着手するか判断する。東日本大震災後初となる原発の新設へ、担当者は「計画に沿って着実に調査していく」と話す。

14日は美浜原発のすぐ北側にある関電の敷地で、数人の作業員が1カ所目のボーリング調査を進めた。10日に開始しており、地中に直径10センチほどの管を埋め、約1メートル掘るごとに試料を取り出す。今後21カ所を調査し、場所によっては200メートル以上掘る。

関電の土木建築室の田中裕マネジャーは「固い岩盤がある場所や、破砕帯の有無などを見て(原発の建設に)適した場所をしっかり考えていく」と述べた。調査はトンネル採掘などの詳細調査を含め、30年ごろまで続く見通し。

関電が原発を新設する場合、投資額は1兆円を超える可能性が高い。建設期間は十数年とみられ、建設中の事業環境の変化が経営に与える影響をどう抑えるかが課題になる。森望社長は「資金調達環境や国の支援状況、次世代原発の開発状況なども含め総合的に判断する」としてる。

経済産業省は11日、原発新設などの事業に公的融資する制度の素案を示した。26年の通常国会で法改正を目指す。金融機関からは原発新設への融資は「民間だけでの判断は困難」(大手銀行関係者)との声が聞かれる。政府系機関などによる融資を可能にし、電力会社が建設資金をまかないやすくする狙いがある。

関電は地質調査を終える30年ごろの経営状況や政府の支援策をみて、原発を新設するか最終的に判断する。

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