東芝が14日発表した2025年4〜9月期の連結純利益は前年同期比約3倍の3160億円だった。半導体メモリー事業を分離した18年度以降の4〜9月期として最高益を更新した。送配電設備やハードディスクドライブ(HDD)がデータセンター向けを中心に伸長したほか、キオクシアホールディングス株の売却も利益を押し上げた。

売上高は横ばいの1兆6138億円、営業利益は64%増の1154億円だった。変圧器などの送配電設備やHDDに加え、防衛や鉄道事業が堅調に推移し増益に寄与した。販売時点情報管理(POS)システムなどのリテール&プリンティング事業は米国の関税の影響を受け減収減益となった。

営業利益率は事業横断の固定費削減や値上げが奏功し7.2%と前年同期から2.9ポイント上がった。上半期の営業利益率は半導体メモリー事業が決算に含まれなくなった18年度から23年度まで3%以下にとどまっていた。

池谷光司副社長は「一連の経営改革の成果だ。本業の収益力強化が着実に進展している」とコメントした。27年3月期には営業利益率10%の達成を目指す。

変圧器などの送配電設備では米国のAIインフラ整備への関与も検討する。10月の日米首脳会談に合わせて発表された「日米間の投資に関する共同ファクトシート」には同様に送配電設備を手掛ける日立製作所や三菱電機とともに対米投資に関心を示す企業として名を連ねた。

データセンター向けに限らず幅広い事業で縦割りを打破して事業間のシナジーを生み出すため、主要事業会社4社を再び東芝本体に順次統合している。デジタルとインフラの子会社を組み合わせるなど組織改革を進めている。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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