長野県農協直販は14日に佐久食肉工場を開いた=長野県農協直販提供

長野県JAグループの長野県農協直販(長野市)は14日、同県佐久市で枝肉などのカット処理を担う食肉工場を開いた。県JAグループは松本市で運営している食肉処理場の移転を断念しており、併設する県農協直販の食肉工場も廃止となる見通しだ。当面は松本工場が県産の牛や豚の加工を、佐久工場は県外から運ばれた豚肉などの加工を担う。

延べ床面積は約3200平方メートルで、すでに解散した食肉加工会社の建物を購入した。流通団地内にあり、首都圏への供給拠点としての役割も果たす。立ち上げ初期は1週間に豚300〜400頭の処理ができる規模という。松本工場の廃止後の処理能力増強も想定し、佐久工場を県産食肉の加工・流通施設の拠点とすべく整備した。

松本市には県JAグループの長野県食肉公社(松本市)が運営する食肉処理場があり、と畜を担っている。カット処理を担う県農協直販の工場も併設している。県食肉公社は土地を所有する松本市から、近隣のごみ焼却施設の建て替えに伴う立ち退きを求められ、移転先を探してきた。しかし、移転候補地での交渉難航や建設費高騰を受け、移転・新築は困難との判断を7月に下した。

その後、松本市とJA全農長野では市有地の返還期限を2年延長、2028年度末とすることで合意した。ただ、と畜を担う食肉処理場は28年度末以降、中野市の1カ所のみになる見通しだ。県内で育った家畜を県外でと畜して再び県内で加工することになると、輸送費用の増加が見込まれる。「信州プレミアム牛」などの売り込みを強化する県畜産業界にとって大きな課題となっている。

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