日銀は14日、内田真一副総裁(63)が白血病の治療のため入院していると明らかにした。入院は7日からで、オンラインなどで事務方と連絡をとりながらリモートワークで公務を続けているという。数週間程度で退院できる見通しで、12月18、19日の次回金融政策決定会合には対面で出席する予定だ。
日銀広報課によると、内田氏は副総裁を続ける意向を示しているという。
内田氏は日銀生え抜きで2012~17年に金融政策を企画・立案する「企画局」のトップを務めた。国際担当の理事など要職を歴任して23年3月、金融庁出身の氷見野良三氏とともに副総裁に就任し、同年4月に就任した植田和男総裁を支える役目を担う。
日銀は現在、黒田東彦前総裁時代の「異次元緩和」を修正し、金融正常化を進めている最中だ。低金利に慣れきった市場を動揺させないよう、経済状況を見極めながら慎重に利上げのタイミングを探っている。
内田氏は企画局長時代、異次元緩和を続けるため長期金利を0%程度に誘導する「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」という新たな枠組みを立案したとされる。「『黒田日銀』を熟知する実務家として、混乱なく金融正常化を進めるために欠かせない人物」(エコノミスト)との見方が多い。
実際、内田氏が裏方として支える「植田日銀」は、マイナス金利を解除した24年3月以降、3回の利上げに踏み切った。円安進行で食料品など輸入品の物価上昇(インフレ)が課題となるなか、企業業績や賃上げ動向も見極めつつ、次回12月会合での追加利上げが妥当かどうか難しい判断を迫られている。
内田氏は副総裁を続投する姿勢だが、仮に業務に支障を来すような事態になれば、重要局面を迎える日銀の金融政策に大きな影響を与える可能性もある。【大久保渉、古屋敷尚子】
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