NTTドコモが実証実験において水素を供給する水素ボンベ

NTTドコモは17日、携帯基地局の非常用電源として水素燃料電池を運用する実証実験を始めたと発表した。独自に開発した出力電圧を調整する技術により、水素燃料を効率的に活用できるようにした。長時間停電などの対策として非常用電源の選択肢を広げ、災害に強い通信ネットワークの構築を目指す。

今回ドコモは水素燃料電池の出力電圧を調整する技術を開発した。停電を想定した試験では、蓄電池への無駄な充電を防ぎつつ水素燃料電池の電力を蓄電池より優先して基地局に供給することができた。これまで非常用電源に使ってきたメタノール型と同等の水素ボンベの設置面積で、2日以上のバックアップが可能になるという。

通常、水素燃料電池と蓄電池を並列に接続すると燃料電池で作った電気が一度蓄電池に充電される。無線装置に給電する際に変換ロスが発生し、非常用電源を使用できる時間が少なくなっていた。

再生可能エネルギーで水を電気分解して作る「グリーン水素」を活用する。発電時に二酸化炭素(CO2)が発生しないため環境への負荷が少ない。メタノールを燃料とした電池ではCO2を排出し、低温環境では凍結対策が必要になるなどの課題があった。水素燃料電池は寒冷地でも安定して稼働できる利点がある。

山梨県笛吹市の基地局で、17日から27年3月まで実証する。今後は結果をもとに商用化に向けた検討を進めるとしている。

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