中国などアジアからの観光客で混雑する福岡空港国際線ターミナル。観光業者からは日中関係悪化の影響を懸念する声が聞かれた=福岡市博多区で2025年11月17日午後3時21分、平川昌範撮影

 中国の一部旅行会社が日本行きツアーの新規販売を停止したことが17日、分かった。中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけていることを受けての対応。今後、同様の動きが広がれば訪日客の減少につながる可能性もある。

 北京市のある旅行代理店は取材に、政府の呼びかけを受けて対応を協議中と回答。キャンセルに伴う損失の扱いなどについて業界各社や当局と協議する必要があるとして、「新しい申し込みはしばらく受け付けられない」と説明した。

 別の北京市内の会社は、引き続き参加を受け付けているとしつつも「キャンセルが増えているので(ツアー開催の最低人数を)満たせないかもしれない。今は日本旅行はおすすめしていない」と答えた。一方で、別の社は「通常通り」としており、旅行会社ごとに対応が分かれている。

 日本への渡航を巡っては、中国外務省と文化観光省が「安全に重大なリスク」があるなどとして自粛を呼びかけた。教育省も、日本留学を慎重に検討するよう注意喚起している。

 日本の観光庁によると、2025年9月の日本への中国人旅行者は78万人(前年同月比19%増)で国別で最多。自粛の動きが広がれば、訪日客の数にも影響する可能性がある。ただ、最近は団体ツアーよりも個人旅行が増えていることもあり、どこまで影響が広がるかは不透明な部分もある。【北京・松倉佑輔】

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