
米国研究製薬工業協会(PhRMA)会長で米ファイザー会長最高経営責任者(CEO)のアルバート・ブーラ氏が来日し、18日に都内で記者会見を開いた。ブーラ氏はトランプ米政権の薬価政策を受け「今後、米国と日本の間で新薬の薬価を平等にしていくことが求められる」として、事実上の日本での薬価引き上げを求めた。
トランプ政権は、他国と比較して高い米国の薬価を下げるため、米国の医薬品の価格を他の先進国の中で最も低い水準に合わせる「最恵国待遇(MFN)薬価」を導入しようとしている。これまでファイザーや英アストラゼネカ、米イーライ・リリーなど複数の製薬大手が新薬でのMFN薬価導入で合意した。
MFN薬価で懸念される影響の一つが、製薬大手が薬価の低い国で新薬の発売を控えることだ。最大市場である米国でも薬価が下がり、収益に影響を及ぶのを避けようとする可能性がある。ブーラ氏は「我々は先進国での薬価を米国の水準に合わせる米政府の取り組みを支持している。すべての国が公平に費用を負担すべきだ」と述べた。
ブーラ氏は「MFNは明らかにほとんどの企業の方針に影響を与える。日本企業も最終的にはトランプ政権と合意に達するだろう」との見方を示した。特許が有効な期間中の薬価の維持や革新的医薬品の適切な評価、創薬エコシステムの再構築に向けた国家戦略の策定などを求めた。
足元では高市早苗首相は介護業界の経営や処遇改善など医療、介護現場への支援に意欲を示している。ブーラ氏は、17日に高市首相と会談したことを明かした上で「首相は問題を理解している。科学にとっても日本にとっても良い形で解決策が見いだせると楽観的に見ている」などとして改革に期待を示した。
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