NHKは「受信料特別対策センター」を設置した(東京都渋谷区のNHK放送センター)

NHKは18日、契約をしながら受信料を支払っていない世帯への督促を強化すると発表した。10月に設置した新組織「受信料特別対策センター」を中心に、未払いが1年以上続いている世帯や事業所を対象に裁判所を通じて法的手続きをとる。2025年10月〜26年3月の督促件数を、24年度の10倍に当たる1250件程度まで増やすとしている。

新組織は受信料の収納業務に携わる視聴者局内に設けた。社内弁護士や営業職員などによって構成され、全国の放送局と連携しながら支払いの督促を担う。26年度は2000件超を想定する。支払い督促ではNHKが簡易裁判所に訴えて、滞納者から異議申し立てがなければ差し押さえといった受信料収納の強制執行も可能となる。

受信契約を結んでいるにもかかわらず、支払いを滞納している世帯・事業者は19年度以降増えている。新型コロナウイルスの感染拡大以降、家屋を1軒ずつ訪問していく巡回型営業をNHKが廃止したことなどが影響し、滞納は24年度末に174万件となった。受信契約数4067万件のうち4%を占める。

NHKの受信契約数は減少傾向にある。23年に受信料を引き下げたこともあり、25年度の受信料収入も減少する見込み。支払い督促を増やし、受信料の公平負担と収入改善につなげる。

10月にはインターネット配信サービス「NHK ONE(ワン)」が始まった。テレビ放送と同じ「必須業務」の扱いで受信料の支払いが利用の前提となっており、11月18日から未契約の利用者には受信契約を求める画面の表示を始めた。NHKはネットのみの利用者が滞納した場合、支払い督促の対象になるかどうかは「今後の検討課題」だとしている。

【関連記事】

  • ・NHK、ネットサービス「NHK ONE」で受信契約を確認 18日から
  • ・NHK、中継局の共同利用で四面楚歌 宙に浮く600億円の費用
  • ・NHK、「ラジオ第2」廃止を総務省に申請 AM放送を一本化
BUSINESS DAILY by NIKKEI

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。