日本貿易会の安永会長(19日、東京都千代田区)

日本貿易会の安永竜夫会長(三井物産会長)は19日の定例記者会見で、東京電力ホールディングス柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)を念頭に国内原発について「順次再稼働していくことが必要」と話した。柏崎刈羽原発を巡っては新潟県の花角英世知事が21日も再稼働の容認を表明する見通しだ。安永会長は安全性の確保を前提としつつ「電源構成の分散は必要だ」と訴えた。

安永会長は電力需要について「DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人工知能)、データセンター向けに増加が見込まれる」と説明した。電力の供給量の確保や地政学リスクへの対応、コスト競争力などの観点で「既存原発の再稼働が重要」と話した。

高市早苗首相の台湾有事に関する答弁やそれに対する中国の薛剣・駐大阪総領事のSNS投稿を巡る日中の対立については「お互いに過大反応している感は否めない」と話した。中国については「サプライチェーン(供給網)やイノベーションの観点でも切り離せない」と指摘。「不確実性が高まる状況だからこそ対話と強調を重視し、経済関係の維持に努める。人の往来と貿易を過度に止めない努力をしたい」と話した。

10月に発足した高市政権については「アジア太平洋経済協力会議(APEC)などの国際会議で日本の存在感を示し、外交面で力強いスタートを切った」と評価した。政策については「特に物価高への迅速な対応や経済政策の実行力、スピード感に期待している」と話した。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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