NHKの稲葉延雄会長は19日の定例記者会見で、受信世帯における受信料の未納が増加している問題について「重く受け止めざるを得ない」との見解を示した。未払い件数は過去5年で約100万件増えた。10月には専門組織を設け、民事手続きによる督促の強化に乗り出した。稲葉会長は未収率の低減へ「出来ることは全てやりきる」と述べた。
同日、10月に始めた新たなネット配信サービス「NHK ONE(ワン)」の最新の利用動向も公表した。従前の配信サービスからのアカウント移行は10月末で約201万件だった。稲葉会長は「(利用者は)順調に伸びている」との見解を示した。
受信契約の確認を無視する利用者へ手動で消せないメッセージを表示する準備を進めていることも明らかにした。コンテンツの閲覧は妨げないようにしつつ、画面の3分の1ほどのサイズで表示する。詳細な設計や導入時期は今後詰める。
一部で指摘が出ているNHK子会社で生じた利益剰余金の扱いについても説明した。23年度末で利益剰余金は計1030億円あった。稲葉会長は剰余金の「過半」が放送設備への投資など用途が固定化されているとして「無駄なお金が遊んでいる訳ではない」と説明した。
利益剰余金のうち支出先が固定されなかった残余は約56億円あったという。稲葉会長は「不知の支出」に備える予備費として必要と説明した。剰余金を巡っては一部をNHK本体への配当に回せば視聴者の負担軽減につながるとの指摘もある。
稲葉会長は予備費の圧縮に向けて従前から検討を進めており、環境が整えばNHK本体への特別配当を子会社に要請することも「あり得る」と話した。
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