
フランスのボージョレ地区で醸造したワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」の販売が20日午前0時に解禁された。輸入元大手のサントリーはハーフボトルサイズを前年比2割増やすほか、ラベルデザインを12年ぶりに刷新した。価格上昇や嗜好の多様化で、市場の縮小が続くなか、手軽に新酒を楽しめる文化を醸成する。
「5がつく年は当たり年といわれる。今年の出来も濃縮した甘い味わいだ」。20日都内で開かれたイベントで、サントリーでワイン事業を統括する吉雄敬子常務執行役員は自信を込めた。
サントリーの2025年の輸入量は約3万7000ケース(1ケース9リットル換算)で前年比2%減となる。ただ、手に取りやすいハーフボトル(375ミリリットル)の輸入量は前年から2割増やした。ラベルはワイン畑をイメージし、アートラベルを採用した。若年層など新たな需要の開拓につなげる。
原材料高や円安で仕入れコストはかさむものの、店頭想定価格は前年から据え置く。供給元とコスト上昇分の吸収を図るとし、主力商品「ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー 2025」の750ミリリットルは3256円となる。

もっとも、ボージョレの消費減少に歯止めがかからない。24年の国内輸入量はピークだった04年の7分の1まで落ち込んだ。25年の国内輸入量は、前年から微減の約15万ケースを見込む。国内の新酒全体でもボージョレの低迷で金額ベースで前年比3割減になる予測もある。
対照的に存在感が増しているのが国内のブドウを使い、国内で製造する「日本ワイン」だ。
本家の解禁に先立つ11月3日。都内で開かれた「山梨ヌーボーまつり」に3200人が集まった。目当ては、9月に収穫した山梨県産ブドウで造ったワインの新酒だ。メルシャンやサントリーなど、山梨県内のワインの生産者が軒を連ねた。参加者は3500円の当日券で10杯ほど試飲ができ、気に入ったワインをその場で買うこともできる。
メルシャンは新酒ワインの出来を「5に限りなく近い4つ星」という。雨量が少なく猛暑日が続いたが、夜間との寒暖差でブドウの糖度が高まった。同社は25年にボージョレの販売から撤退した代わりに、日本ワイン新酒の販売(数量ベース)で前年実績比2倍を計画。大塚正光社長は「新酒文化は日本ワインで継承する」という。
サントリーも山梨ヌーボーから赤ワインと白ワイン計2種類を販売しており、前年実績(数量ベース)比2割増の9万本の販売を目指す。
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