住友化学子会社の東友ファインケムの高純度化学品のプラント(韓国・益山市)

住友化学は20日、半導体の製造工程向け洗浄薬品を手がける台湾企業を買収すると発表した。アジア・ユニオン・エレクトロニック・ケミカル・コーポレーション(AUECC)社を年内に買収完了予定で、買収額は非公表だが100億円規模とみられる。既に顧客網を持つ同社を傘下に入れ、地域や製品展開で既存事業を補完し更なる強化につなげる。

AUECC社は半導体の製造工程で使われる洗浄薬品などの化学品を手がける。先端技術を使わない「レガシー半導体」向けから先端半導体向けまで対応し、米ネバダ州と台湾南部の高雄市に生産拠点を持つ。

住友化学は主に先端向けに高純度硫酸や高純度アンモニア水などを手がけ、日本、米国、中国、韓国に拠点を持つ。洗浄薬品は半導体高度化に伴い使用量が増えており、買収によって半導体産業が旺盛な台湾で初めて拠点をもち、米国も既存のテキサス州に加え西側に広がる。地域を補完し供給網を広げる。

半導体業界では新生産ライン立ち上げ時などを除き、一度採用された材料が継続して使われ新規参入のハードルは高い。また自社での工場新設では建設費もかさむほか、化学品の場合、認可取得にも時間がかかる。レガシー半導体向けも含めすでに顧客がいる企業を買収することで、素早い事業の拡大を目指す。

今後、住友化学が得意とする高純度化の技術の導入を進めるほか、製品の効率的な輸送や原料の集中購買などでも相乗効果を見込む。

住友化学は洗浄薬品のほか半導体の回路形成に使われるフォトレジスト(感光材)などを手がけ、半導体材料を成長領域に据えている。洗浄薬品は半導体の高度化に伴い使用回数や量が増えており、30年度には24年度比で売上高を倍増させる計画だ。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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