厚生労働省は20日に介護保険部会を開いた(東京都港区)

厚生労働省は20日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護保険部会に、介護サービス利用料の2割負担の対象拡大に踏み切る場合は預貯金など金融資産の保有状況を考慮する案を示した。高齢化で介護費用は増加しており、収支の改善に向けて議論を深める。

介護保険制度は3年に1度、見直している。法令改正は準備に長い時間を要するため、改定の2年前の年末にとりまとめるのが通例となっている。次回の改定は2027年度で、政府・与党を中心に12月末にかけて協議が活発になる見通しだ。

介護サービスの利用料は原則1割を事業者に直接支払うことになっている。年収が280万円以上なら2割に、340万円以上なら3割に増える。1割負担の人が全体の9割以上を占める。

特別養護老人ホームなどに入った場合に預貯金額といった金融資産の多寡に応じ、全額自己負担が原則の食費や居住費の一部を補助する仕組みがすでにある。サービス利用者が市区町村に申請し、金融機関に資産状況を確認するなどして認定証を交付している。

2割負担の対象拡大はかねて議論となっているが、高齢者の急な負担増を避けるため、詳細な制度設計を巡って協議が続いている。関係団体や利用者の反発は強く、これまでに結論を3度見送っている。

高齢化に伴って介護給付費は23年度に10兆8000億円ほどになり、00年度の制度開始から3倍以上に膨らんだ。政府が23年末に決めた全世代型社会保障の改革工程には、2割負担の対象拡大について「金融資産の保有状況の反映のあり方と併せて早急に検討を開始する」と明示している。

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