高市早苗政権の財政拡張的な対応が国債価格下落を呼んでいる。記者会見する高市首相=首相官邸で10月、尾籠章裕撮影

 20日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが、一時1・835%まで上昇(債券価格は下落)した。日本相互証券によると2008年6月以来約17年半ぶりの水準。高市早苗政権の経済対策で財政が悪化するとの懸念から、国債の売り注文が膨らんだ。外国為替市場でも、円相場は1ドル=157円台後半まで下落した。日経平均株価(225種)は5営業日ぶりに反発したものの、国債と円売りに歯止めがかかっていない。

 20日の東京市場では、政府が21日にも閣議決定する経済対策の規模が巨額に膨らむことが伝わり、財政悪化懸念が一段と強まった。前日に米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げ観測が後退し米国債利回りが上昇したことも、日本国債の売り圧力を強めた。終値は前日比0・060%高い1・825%。満期までの期間が長い30年物国債の利回りは、一時3・390%と過去最高値となった。

 外為市場では、国債売りに伴う円売りが加速し、1月以来約10カ月ぶりに一時1ドル=157円台後半をつけ、前日比2円以上、円安・ドル高が進んだ。

 一方、20日の東京株式市場では、日経平均が一時2000円超上昇。午前の取引開始直前に発表された米半導体大手エヌビディアの決算が市場予想を上回ったことが好感され、5万円を回復する場面もあった。終値は前日比1286円24銭高の4万9823円94銭。

 10年物国債の利回りは前週末14日時点で1・7%程度だったが、経済対策の規模が明らかになるにつれ急ピッチで上昇している。みずほ証券の丹治倫敦氏は「海外投資家を中心に財政悪化懸念が強まっており、国債市場では『売りが売りを呼ぶ』状態だ。1ドル=160円まで下落すれば、政府・日銀による円買いの為替介入が意識されるようになる」と指摘している。【秋丸生帆】

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